新たなアプローチが求められる精神科看護の現場

時代の移り変わりとともに、重症型の精神疾患ではなく、うつ病や不安障害といった軽症型の疾患を訴える患者が増加している。そのため、うつ病を主体とした勤労者のためのストレス病棟を設ける病院もある。
その中で、看護師による傾聴が大変重要な役割を果たしている。

このカウンセリングナースは、従来の重症型精神疾患における看護の役割が起源となっている。看護のもつ母性的や優しさ、温かさ、身体的な接触が、治療においてかなり決定的な役割を果たしているのは明白である。
これが単なる重度の患者だけでなく、外来患者やうつ病、ノイローゼ状態の人にまで広がっている。

重症型の精神疾患における基本的な看護師の対応は、患者の心を支え、気持ちに寄り添った関わりを持つ支持的な接近が中心となる。
本来の看護が持つ母性的な意味での関わりであり、あえてカウンセリングという範疇でとらえるのでなく、従来の看護教育や精神科の専門教育で得た知識や体験に基づいて看護を展開している。

しかし、勤労者のうつ病というのは、社会の第一線で働く人が過労やストレスにより体調を悪化させたものであり、非常に社会性の強い母集団でもある。知識も豊富で社会の遂行能力が高いだけに自分にも他者にも厳しい傾向にあるため、治療も難しくなっている。

このように、母性的な関わりだけでは対応できなくなったため、新たなアプローチとしてカウンセリングナースを設置している病院が増えている。