身体的訴えにも対応できる

カウンセリングの専門職として臨床心理士がいるが、大学の心理教育を受けた臨床心理士と看護師がおこなうカウンセリングでは異なる面がある。
一般的には患者の話を聴いたカウンセラーが何らかの問いかけを行い、患者がそれに応えるという言葉のキャッチボールが成り立つが、看護師によるカウンセリングは言葉だけが媒介になるものではない。

看護師は医学教育を受けているため、患者の身体的訴えに応じることが可能である。もし、カウンセリング中に熱がある、身体がきついと訴えられたとすれば、脈をとったり、血圧を測ったり、額に手をあてたりしながら患者と関わることができる。
この身体的な接触が可能という点が、臨床心理士とは異なる点である。

看護師は患者のそばに寄り添い身体の苦痛があればその痛みに共感しながら、心の葛藤や悩みについて対応する接近が可能だ。
うつ病などの患者の中には身体症状があらわれている人が多い。その身体的苦痛に共感しながら看護師として苦痛の緩和の援助や、医学的所見のアドバイスを行うことができる。
この身体的接触を通じた直接的な苦痛緩和の関わりや、看護の持つ母性的な温かさを体験することを通し、患者の中に安心感や信頼感が生まれる。
また、今までに話せなかった苦悩を話し始める場合もある。

つまり、身体的接触から始まるものの、援助を続けることで本人の身体症状の裏側にある根本的な問題点に到達することが少なくない。さらに心理的苦痛にも共感しながら関わることで、患者に安心感を与えることができる。